羽田甚商店店主 羽田美智子×おいしい薬膳白牡丹 金井ひかり

店主の閃きから『4種のきのこ養生スープ』開発へ

羽田:長野県中野市はえのき生産量日本一。何度かご縁があり、えのき工場にも訪れたことがあります。そのたびにえのきをはじめとする、きのこ類のパワーを実感し、この魅力を羽田甚商店ならではの商品として販売し、現代の人に手軽にきのこの栄養素を取り入れてほしいと思うようになりました。そして中野市の方とお話しているときに、ピーンと閃いたのが「4種のきのこ養生スープ」でした。具合が悪いときや体調がちょっとすぐれないときに、食養生をして、未病を防ぐというものができたらいいのになあというものでした。早速、乾燥きのこを買い漁って、東京の自宅でいろいろ試してみたりしました。

羽田:そんな折に、友人に、那須塩原で金井ひかりさんが営まれている「おいしい薬膳 白牡丹」に連れてきてもらいました。そこのお弁当をいただいたら、腰が抜けるほどおいしくて。食べる前と食べたあとの自分の身体が違うのがわかりますし、最高に美味しくて元気になったんです。これは食材ももちろんだけど、作っていらっしゃる金井さんの精神が入っているから元気になるんだと実感したんです。だから、このきのこスープも精神性の高い金井さんにレシピを考えてもらったら、絶対人々を元気にしてくれる「養生スープ」ができる!と確信しました!(笑)

金井:うれしいです!ありがとうございます!

羽田:金井さんは、どうして薬膳の勉強をしようと思ったんですか?

金井:もともと、東城百合子さんの自然療法を学びたくて学校に通い、その後、薬膳料理にも興味を持ち出し、薬膳の魅力にハマっていきました。薬膳は中国の医学なので、理論形態がしっかりしていて、何が臓器にどうしていいのか、理にかなっているので、もっと勉強したくなり、日本中医学院(旧北京中医薬大学日本校)の薬膳専科に通うことにしました。

羽田:へー、そうだったんですね!でも薬膳って難しそうで、日本にいながらレシピ開発や食材を手に入れたりするなど、簡単ではないんじゃないですか?

金井:いえ!「薬食同源」という言葉があって、「生薬と食物とはその源が同じ」という考えがあります。クコの実やナツメなどの漢方を使わなくても、スーパーで手に入る普通の食材で、その季節やその人の体調に合わせて、中医学の理論に則って作れば、それは薬膳なんです。

羽田:それは自然の流れでできたものだから、その季節に繫殖するものを食べると身体に生きてくるということですね!

金井:そうなんです!夏は暑いから、身体を冷やしてくれるきゅうり・茄子・トマトなどを食べて、水分も補給できる、冬は身体をあたためてくれる根菜類が出てきたり、梅雨は水分を排出してくれるような豆系のスナップえんどうやいんげんが、胃腸を整えて、代謝をよくしてくれる。ちょうど人間の身体が欲している時期に、必要な要素をもっている野菜が出てくるという、不思議な仕組みになっているんです。なので、本当に理にかなっているなあと思って。おもしろいですよね!

羽田:不思議ですね。薬膳っておもしろいし、人間が季節のものを喜んで食べるのは、身体が喜んでくれるという理由があるからなんですね!今回は、乾燥きのこを使ったスープを作ってもらったんですけど、これは一年中食べられますよね!

金井:はい!季節的には秋が旬ですが、きのこを乾燥させると、ミネラルが凝縮され、味わいも深くなるので、一年中食べていただいていいと思います。

羽田:今回、金井さんに【養生スープ】をテーマに、私のわがままを存分に取り入れていただき、レシピ開発をしていただきました。体調がすぐれないとき、病気をしているときにもお手軽に飲んでいただけるスープがいいとか、ファスティング後の回復食としても、身体に優しいものであってほしいとか、、、。

金井:はい。きのこの特徴を生かしながら、なるべく羽田さんの想いを叶えるべく、試行錯誤しながら作ってみました!

羽田:ありがとうございます。今回は2種類のきのこスープを作っていただいたのですが、まず一つ目は「おぼろ昆布」をメインで使っていただいていますよね?私、おぼろ昆布大好きなんです。あと生姜が効いていて身体がカッと熱くなるところが気に入ってます。

金井:生姜は生薬の一つなんですけど、風邪の邪気が身体に入ってこようとしたときにそれを発散して払ってくれるんです。また、生姜は胃腸も整えてくれる効果があるんです。それから梅干しも入っているのですが、自然療法でも梅干しのクエン酸が疲労回復にいいとされていて、昔から重宝されているものなんです。

金井:「梅醤番茶」という、三年番茶に、醤油と梅干しを加えた飲み方があると思うんですけど、疲れや低血圧、食欲不振などの症状を緩和する効能があります。その発想を今回のスープに生かせないかなと思って考案しました。

羽田:なるほどー。ちょっと風邪っぽいときにも最適のスープですね。それからもう一つは、「切り干し大根」を使っていただいていましたよね。

金井:はい。切り干し大根は、胃腸を整える、毒素を出す効能があります。また、ナツメも入っていて、精神安定の効能も。眠れない、気持ちが不安定なとき、自律神経が昂った時に、落ち着かせてくれ、寝つきがよくなると思います。

羽田:うわー、最高ですね。もちろん体調が悪いときだけでなく、忙しくて、栄養がとれていないとき、食べたいけど、作るのがめんどくさい時にいいですね。

金井:そうなってくれるといいなと思って作りました!また、このスープにごはん入れて煮込むと、雑炊がすぐできますし、そうめんやうどんを入れてもらっても合うと思います。それから豆乳、白ごまペースト、ラー油を入れて担々麵風スープにして味変も楽しんでいただけるかと。季節に合わせて食材を加えたり、豆腐もいいかも!夏は冷やして冷や汁みたいにしてもいいと思います。

羽田:いいですねー!備蓄しておくにもいいですし、普段の食養生にもぴったりなので、お家にストックしておきたいですね!

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*PROFILE*

Hikari Kanai

那須塩原市の薬膳レストラン 『おいしい薬膳 白牡丹』
主宰・オーナーシェフ。

自然療法を学ぶため、東城百合子氏に師事。
薬膳アドバイザーとして、 イスクラ産業株式会社にメニュー提供。
新宿調理師専門学校の元講師。
現在は、レストラン主宰のほか 薬膳の料理教室運営、 薬膳や月の満ち欠けなど天体の運行に呼応したお茶の販売 薬膳のメニュー提供、レシピ考案などのサービスを積極的に行う。

ルナアロマセラピスト
指ヨガセラピスト
薬膳料理研究家・国際中医薬膳師