ムーラン・ルージュ

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「佐賀のお菓子だと自慢できるようなお菓子を作りたい。
佐賀の人が県外への手土産にしてくれたら嬉しいです」

そんな思いからバウムクーヘンを作ろうと、なんと自分で養鶏所から始めてしまった、なんとも情熱的なムーラン・ルージュの石井さん。

バウムクーヘンが大好きな、羽田店主の心をつかんだ、そのこだわりの味に隠されたストーリーをお聞きしてきました。

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羽田:私、バウムクーヘンが大好きで、いろんなところのものを食べ歩きしてきたのですが、こちらのバウムクーヘンはシンプルで余計なものがなく、ダイレクトにおいしさが伝わってきたんです。

石井:よかったです!ありがとうございます。もともと私はパン屋を30年以上やってきたのですが、何か佐賀県のみなさんが自慢できる手土産を作れないかと思ったときに、バウムクーヘンはいろんな土地にあるけど、佐賀でしか作れないバウムクーヘンを作れたら、きっと喜んでもらえるんじゃないかという思いで始めました。
それで、バウムクーヘンといえば、卵だ!ということで、まず養鶏所を作りました。

羽田:また、思い切ったことをされましたね。ご苦労もあられたんじゃないでしょうか? 

石井:養鶏所を作ったはいいものの、最初は業者が決まらず、自分でまず重機を買って、自分で運転し、試行錯誤しながら始めました。今では、3,000坪くらいの土地に500坪の鶏舎を建てて、約4,500羽の鶏を平飼いで育てています。
坪あたり9~10羽です。敢えて平飼いにして、鶏にストレスを与えず、美味しい卵を産んでもらう環境を作っています。

羽田:そんな広い土地で平飼いをするなんて、とっても大変なことですよね。
でも鶏にストレスを与えないなんて、アニマルウェルフェアの観点からもとてもいいことですよね。

※アニマルウェルフェアとは、家畜を快適な環境下で飼養することにより、家畜のストレスや疾病を減らすことが重要であり、結果として、生産性の向上や安全な畜産物の生産にもつながるという考え方。

 

石井:そうですね。土地もそうですが、エサにもこだわっているんです。鶏はとても素直なので、食べたものが産む卵へダイレクトに影響します。
ハーブや茶葉などのエサを食べさせたり、食べたタイミングなども分析して、ベストな卵を作るように心がけています。

石井:最近では、佐賀市と佐賀大学、筑波大学で、藻の研究が行われていて、ヘマトコッカス藻の上澄み(アスタキサンチン)を食べさせ、鶏が食べる前と食べたあとで卵の結果を見ています。成分分析をして結果が良かったら、佐賀市が取り組んでいる研究なので、うちで取り入れていきたいと思っています。

羽田:まだまだ新しい発見がありそうですね。

石井:そうですね。卵に関しては素人で始めたから、こんなにエサ代がかかるんだとか、それでもこれくらいの金額でしか販売できないんだとか、知らないことが多かったので、養鶏所の経営は苦労しております。
自分のところの卵を使うより、他のところの卵を仕入れた方がコストとしては、ずっと抑えられるんですけど、それでも、うちでしか作れないバウムクーヘンで、みなさんに喜んでもらいたいという想いだけでやっております。

 

羽田:そうなんですか!他のところの卵を仕入れた方が安いのに、自分のところで卵を作り続けるとは…これだから生産者さんには頭が上がらないんです。

石井:自分で作った卵ならどういう所でどんなエサを与えているのかがわかるので、お客様に美味しくて新鮮で安心安全なものを食べてもらえると思います。

羽田:それはそうですよね!本当に素晴らしいです。石井さんのものづくりの精神に感動しました。

石井:僕の場合は、卵に妥協しない、焼き方に妥協しない、というところにこだわりをもってやってきました。パン屋を30年以上やってきたので、オーブンに関しては多少知識がありましたし、高温・短時間で焼くことにこだわって何度も試行錯誤しました。また卵の弾力によって水分量が変わってきて、その中でソフト感を維持するという部分も難しかったですね。それから、焼きたてがおいしいと思われるかもしれませんが、うちの場合、焼いたあとにわざわざ冷凍するんですよ。

羽田:え?!冷凍するんですか?!

石井:はい、そうなんです。そうすると、弾力がさくっとするので、わざと1度冷凍しているんです。面倒だけど、こっちの方がおいしいから、それを貫いているんです。

羽田:本当にこだわりがすごいですね。石井さんのお客様を喜ばせたいという想いがとても伝わってきて印象的でした。

石井:お客様が「美味しかったよ」と喜んでくださる姿を見て、この仕事をやってきてよかったなと思えるんです。その為にもこれからも努力していきたいと思っています。

羽田:勉強になります。それでは、バウムクーヘン、いただきます!!あー、おいしい!!

 

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