マスニ農園

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花から花へと気ままに飛び交うミツバチ。そのミツバチによって収穫することのできる、はちみつ。マスニ農園の清野さんは標高550mの場所にある“天空のりんご畑”を営みながら、養蜂家としても注目を集めています。こちらで採れる“天空のはちみつ”は、季節の花々の蜜が混じり合い、うっとりするようなおいしさ。自然との共生を大切にしながら歩んでいる、清野さんにお話を伺いました。

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さまざまな野花が咲き乱れる美しい農園では、ミツバチと人が共存している

羽田:こちらのりんご畑はかなり広いんでしょうか?

清野:そうですね、畑自体は裏山のてっぺんにあってかなり高い位置にあるんです。そこで、見晴らしもいいので、うちに来たお客さんが“天空のりんご畑”っていってくれて。それがすごくいいなと思って、“天空のはちみつ”っていうようになりました

羽田:すごくいい名前ですよね。りんごの木にミツバチの箱を設置するんですよね?

山﨑:はい、去年だと10〜20弱ですね。この一箱で多いときで大体40キロくらいのはちみつが取れます

羽田:ここに蜂が運んできた蜜を溜め込むんですか?

清野:そうですね。糖度が上がっておいしくなるともう大丈夫だよっていう合図で、蜂が蓋を閉めるんです。

羽田:はちみつをいただくときは、蜂に怒られません(笑)?

山﨑:(笑)

清野:そうなんですよ(笑)。採るときはすごく怒って。よく刺されますよ。それで、人間がこれを置いておくと蜂がここまで作ってくれるんです

羽田:すごい! 蜂って本当に働き者ですよね。私、他人事だと思えなくて

清野・山﨑:(笑)

山﨑:これも分泌物なんですよね

清野:ミツバチの喉のあたりに、蜜蝋という成分を出して、その蜜蝋で巣を作るんですよ

羽田:ああ、蜜蝋。ファイバーみたいな感じなのかな

清野:厳密に、その出したものがどういう風になっているかはわからないんですけど、ここで加工じゃないけど、化学反応が起こって、ミツバチが吐き出したもので作っているんです

羽田:それでこんな層にしちゃうんですもんね。すごいな

清野:基本的には。巣の中で、下が女王蜂の産卵スペースとか子育てスペースになっていて。この一段上に板を1枚挟んで、もう1個継箱といって同じ箱をもう1個かける。こうすると女王蜂は大きいので、ここの隙間を抜けられないんですよ。でも他の蜂は抜けられる。そうするとこの上の2階部分は、女王蜂が卵を産まないので、ただの蜜を貯めるだけのスペースになる。その2階がいっぱいあればあるほど産蜜量、はちみつが増えます。だから、どちらかというと僕らは全部いただいているのではなく、ミツバチが備えてあるものを少し分けていただいている感覚です

羽田:余剰分みたいな

清野:そう。僕ら、ちっちゃい頃、何も知らないときに全部取っちゃったこともあって。そうするとどんどん弱っちゃうんですよ。お互いに共生できるようにお相手もするし、育てますし、餌とかもあげるし

羽田:共存なんですね、ものづくりってそこですよね、一方的にいただくのではなく

清野:共存ですね、本当にそういうイメージですね

山﨑:養蜂家の方って面白い人多いですしね

清野:そう、蜂の扱いがいいのか、半袖で採りに行ったりするし(笑)。気持ちが通じ合ってるのか。

羽田:自然派の人も多いですよね

清野:そう、自然との共生がいつまでもキーワードになってくるのかなって思いますね

花粉によって色や味、すべてが変わる。
その複雑さが魅力の、“天空のはちみつ”

清野:うちは元々、りんごの実をつけるために、蜂に受粉していただいているんですよね

羽田:なるほど、もとはりんごのために。清野さんは何代目なんですか?

清野:僕は7代目で、はちみつは4年前から始めました。最初の3年間は全然うまくいかなくて、去年初めて軌道に乗った感じです

山﨑:はちみつは4種類あるんですよ

清野:春の蜜と、りんごの蜜と、アカシアの蜜と、あとクローバーが入った夏の蜜。今年の夏の蜜なんて、梨の味がするんですよ。はちみつなのに

羽田:へ〜!それは梨を食べていたから?

清野:ケンポナシなのかな。花粉によって、味とか色とかいろんなものが全部変わってくるんです。年に4回製蜜するんですが、春は花がすごく多いので、菜の花、桜、桃、梅、本当に色々な複雑な味がして。春が一番おいしいと思っています

羽田:じゃあ、はちみつは年に4回取れるんですね。菜の花と桜なんとかではなくて、なぜ百花蜜といわれるんですか?

清野:色々入っちゃうんですよね。桜の蜜っていってもこの半径3キロくらいなので

羽田:じゃああちこち飛んで、色々混じっちゃうんだ

清野:そうです。例えば桜の木があれば、そのあたりに蜂が行きがちだから、桜っていう名前をつけてはいるんですけど、

羽田:基本は、百花蜜になるんですね

国産はちみつだからこそ生み出せる、奥深い味。
ひと匙なめるだけで力をみなぎらせてくれる

羽田:りんご農園のこだわりはありますか?

清野:うちの農園は、基本的に市場や農協にはお出ししないで、お客様に直接フルーツをお送りしている農園なんです。収穫したらそこで箱詰めして独自で発送する。だから、どういうお客様に響くだろうっていうのはすごく大事にしていますね。かっこいいデザインとかよりも

羽田:温かみのあるものとか

清野:そうですね、僕らの農家に対する思いを、お客様にも持ってもらいたいなと思って。応援していきたくなる農家になるためにどうしたらいいだろうって考えています。だから、お客さんにも案内を出したりして、お客さんが育てる、というような農家を目指しています。

羽田:わかります。一方的ではなくてね、お互い様だぞっていう

清野:そういうこだわりで作っています。基本的にはりんごの実もたくさん取らないで、バランスをすごく大切にしています

羽田:やっぱり自然の恵みだから、自然界のものを100%取るんじゃなくて、繋げていく農業というか

清野:そうですね、持続性は持たせていかないと

羽田:素晴らしいです。はちみつはどういう方に召し上がってもらいたいですか?

清野:国産の天然はちみつを買ってらっしゃる方は健康志向の方がすごく多くて。あとは味ですよね。深みが全然違うし、いろんな味が楽しめるので、やっぱりそういうところがわかってくださるお客様に響くと思っています

羽田:あと思ったのは、羽田甚商店の中で備蓄品を集めましょうということをお伝えしていて。はちみつってすごい備蓄品だと思うんですね

清野:確かに、一生保ちますからね

羽田:そうですよね、エネルギー不足のときにひと匙あるだけで、生き返るようなパワーがあると思うから。これをいかに備蓄しておくかって大事だと思っているんです。それで国産で、長期保存可能なこちらのはちみつって、何かあったときに絶対あってよかったって思ってもらえると思います。ぜひ自信を持って続けていっていただきたいです!

清野:はい、国産のはちみつの自給率って0.5%くらいしかないんですよ。だから継続してちゃんと販売できるようにしていきたいですね

羽田:ぜひ!微力ながら私たちも力になれたらうれしいです!

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