お米と暮らし ヘルシアプラス

玄米や雑穀が体に良いということは分かっていても、食べにくかったりきっかけがなかったりしてハードルが高いと感じている方は多いかもしれません。そんな状況を変えたいと、おいしく食べやすい玄米と雑穀にこだわりながら、茨城県つくばみらい市で「お米と暮らし」というお店を開いていらっしゃるのが浅沼重夫さん・敏子さん親子です。今回は、羽田甚商店オリジナルのブレンド雑穀米を作っていただくことになりました。

初心者にも、苦手意識のある方にも! 健康と美を叶えるおいしい雑穀米をブレンド。

羽田 私、健康と美容に関して貪欲なんですが、そんな私の欲望をすべて満たしてくれるような、オリジナルのブレンド雑穀米を作っていただけますか(笑)?

敏子 おまかせください(笑)。具体的にはどんなものをご希望ですか? 雑穀はそれぞれに効果が違うので、お悩みとかご希望に沿って、入れる種類を考えていきたいと思います。

羽田 胃腸に負担がかからないような、消化によくて通るところすべてにやさしいものがいいですね。あと、食べるたびにエネルギーが得られて、活力になるような。自分自身の底上げをしてくれて、中から光が増していく感じの。それと、肌がぴちぴちの美人になれるブレンドをお願いしたいです。

敏子 それだと、黒米がおすすめですね。昔、楊貴妃が美のために食べていたとも言われていて、アントシアニンという栄養素が豊富に含まれています。抗酸化作用があって体を錆びさせないので、女性のアンチエイジングに効果的。お肌にとても良いとも言われています。

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羽田 いいですね! それと最近、血管とか血液の健康も気になっているんですが。

敏子 アマランサスという雑穀はどうでしょう。これには鉄分などが多く含まれているので、血液にもいいと思います。

重夫 南米のペルーが原産なのですが、今、国産で作っているところがあるんですよ。

敏子 そうなると、うちのオリジナルで作っている十六穀米をベースにしましょうか。

羽田 十六穀米には何がはいってるんですか?

敏子 黒米、アマランサス、もちきび、押麦、小豆、黒豆、赤米、それと、米粒麦、もちあわ、巨大胚芽米、うるちひえ、玄米胚芽、大豆、はと麦、たかきび、もち米の十六種類ですね。

羽田 それがぜんぶ入ってるんですか!

敏子 はい。そこに、もち麦も追加しましょう。もち麦には、白米の20倍の食物繊維があると言われていて。しかも、水溶性と不溶性のどちらの食物繊維も入っているので、消化を助けてくれて便秘知らずになります。

羽田 お腹にやさしいということですね。

敏子 もち麦が入っているブレンド米ってあまりないので、より特別なブレンドになると思いますよ。

羽田 いいですね。

敏子 あとは発芽玄米も入れたいですね。これは脳の活性化を促します。

羽田 わあ、必要です(笑)!

敏子 どの年代の方にも必要なものですよね。これにはGABAが含まれていて、精神を落ち着かせてくれるそうで、鬱病にいいとか言われることもあります。

羽田 気持ちを安定させるんですね。発芽玄米って普通の玄米とは違うんですか?

敏子 そうですね。玄米を発芽させて乾燥させたものなんですが、発芽させることで、玄米のデメリットと言われるフィチン酸を除去することができるんです。玄米が発芽するときに、水に流れ出てしまうんですね。そしてGABAが出るので、普通の玄米よりも栄養価としては上がるそうですよ。

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羽田 十六穀に、もち麦と発芽玄米が加わって、十八穀米ですね。消化に良くて、内側から張りが出る、美しくなれるブレンド。すごくいいと思います。こういった雑穀米は、白米に混ぜて炊くほかに何か食べ方はあるんですか?

敏子 例えば、忙しくてごはんが炊けないときには、スープジャーに雑穀米大匙二杯とお湯をいれてフタをしておきます。すると、おかゆみたいなものができるので、そこに梅干しやスープの素を入れて食べるとか。あるいは、できたものをご飯にかけたり、混ぜたりといった食べ方をすることもできます。

羽田 お湯につけておくだけでいいんですか?

敏子 はい。もち麦なんかは2時間くらいで食べられるようになるんですけど、ブレンドの雑穀米は豆なども入っているので3時間くらいですかね。

羽田 朝入れて持って出ればお昼ごはんに食べることができるし、すごく手軽ですね。

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継続を左右する「ファースト玄米&雑穀米」でおいしさを実感してもらいたい。

羽田 雑穀や玄米のお店をやろうと思ったきっかけは何だったんですか?

重夫 もう30年くらい前になりますが、私が元々、国産の圧力鍋の販売をしていて。固い玄米もやわらかく炊けるすごい鍋なんですよ、とお客様にお料理を食べてもらいながら商品を説明していたんですね。やっているうちに玄米っていいなと思って、自分も玄米食をやろうとしたんですけど家族がついてこなかったんですよ(笑)。

敏子 圧力鍋で米を炊くのが大変だったんですよね(笑)。スイッチひとつで炊ける炊飯器に比べたらめんどくさくて。

重夫 その後、55歳で退職したんですが、東京の食品展示会などをまわって8年間勉強して。それで、最終的に健康志向がいいなと思い至り、玄米をもう一度食べてもらえるようにがんばろうと、この商売を始めたんです。

羽田 食べることでみなさんに元気になってもらいたい、本当にいいものを届けたいという思いで始められたんですよね。そこが、羽田甚商店ともリンクするなって思って。

敏子 どんなにものが良くても、その良さを伝える人がいないと伝わりません。農家さんは作るプロであっても、売るプロではないので。売るプロである私たちが間に入ってお客様にご説明することで、伝わればいいなと思います。

羽田 本当にそうですよね。このお店はいつから?

重夫 2018年の11月28日にオープンしました。

敏子 その前までは自社店舗は持たずに、通販とか、百貨店などで催事販売をしていました。

羽田 店舗を持ってから変わりました?

重夫 毎日楽しいですよ。いろんなお客さんと接してお話できますし。

敏子 雑穀が持つ意味などを説明しながら買っていただけるっていうのが一番いいですね。

羽田 その意味が分かると、ひと噛みひと噛みがより大事なものになりますよね。

敏子 あと、味見もしていただけるので。試食でお出しした玄米がおいしかったから買おうかなと言ってもらったり。

羽田 玄米、私もいただきましたけどすごくおいしかったです!

敏子 ありがとうございます。そのおいしさを実感していただくのも、我々にできることなので。やっぱり、初めて口にする「ファースト玄米」とか「ファースト雑穀」がおいしくないと続かないですから。

羽田 確かに、最初においしいものを食べないと嫌いになっちゃいますよね。

敏子 はい。ファーストで失敗してしまった方にも、またがんばってみてもらえるように、作り方とかをいろいろお教えできる場所があるってことも、お店を持ってすごくよかったことだと思います。

羽田 敏子さんは、「雑穀エキスパート」という資格もお持ちとお聞きしました。

敏子 自社で売っているものを深く説明するのに勉強が必要だったので取りました。あと、社長にもすすめられて。

重夫 私は独学だったんですが、やっぱりちゃんとした勉強をしたほうがいいんじゃないかと思って。お陰で、今その知識が生きてますよね。

敏子 実は私、以前はイタリアンの料理人をしていたんですよ。

羽田 そうなんですか!

敏子 でも、腰痛をわずらって辞めて。その後、コンビニのスイーツ開発に携わっていたんです。

羽田 いろいろな顔をお持ちですね。

敏子 ただ、スイーツ開発は確かに華やかな世界だったんですけど、仕事をしていくうちに、大切な人にも自分が自信を持ってすすめられるような、おいしい健康食をもっと多くの人に食べてもらいたいな、という想いが強くなっていって。

羽田 それもあって、玄米とか、雑穀のほうに進まれたんですね。

敏子 うちは、無添加で化学調味料などが入っていないものしか売っていません。自分たちが本当にみなさんに食べていただきたいと思うもの、おいしいと思うものしか扱えないと思っています。

羽田 そこが、羽田甚商店の理念とまったく一緒なんです。絶対に自信をもっておすすめできるいいものだけを、求めている人に届けたいっていう。

重夫 おっしゃるとおりですね。うちも、とにかくその姿勢だけは貫こうと思っています。

敏子 あと、雑穀の良さを知っていただくため、料理教室もしたりしているんですよ。雑穀米を炊くだけではなくて、例えばもち麦をお肉に見立てるとか、雑穀をメインの料理にしたレシピをお教えしています。

羽田 まずは食べてもらって、よさを分かってもらう。本物の良さが分かれば、みんな騙されなくなるはずですよね。

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「栄養はあるけど食べにくい」を払拭する、もちもち食べやすいミルキークイーン玄米。

羽田 玄米にはどんなメリットがあるんですか?

敏子 ビタミン、ミネラル、食物繊維が摂れるところです。これらは糠に多く含まれているので、白米にすると糠と一緒に全部捨てられてしまうんですよね。

羽田 栄養が全部、糠に行ってしまうんですね。

敏子 はい。なので、玄米のまま食べるのをおすすめしています。白米は「かす」って呼ばれるほどで。意味は違いますけど、白米、つまりこめへんに白で「粕(かす)」って読むじゃないですか。それに対して、こめへんに健康の康で「糠(ぬか)」。なので、白米には雑穀を混ぜて、失われた食物繊維やビタミン、ミネラルを補うようにするといいですね。

羽田 なるほど。こちらのお店で扱っていらっしゃる玄米はどんなものなんですか?

重夫 茨城県産の有機栽培のミルキークイーン米を扱っています。このお米は最高ですよ。

敏子 玄米がおいしく食べられるように、柔らかく炊ける粘りのあるお米をいろいろ探して、最終的に見つけたのがこのミルキークイーン米なんです。ミルキークイーン米は、低アミロース米と呼ばれていて、甘味があって、粘りがあって、冷めても固くなりにくいんですね。

羽田 低アミロースって、何ですか?

敏子 アミロースが多いとパサパサして、アミロースが低いともちもちするんです。

羽田 なるほど。ミルキークイーンの白米もすごくおいしかったです。

敏子 白米にすると、より一層粘りと甘味が感じられますよね。

羽田 一度食べてしまうと、他の銘柄には変えられないですね。本当に全然違う。

敏子 なので、繰り返し買ってくださる方が多いです。残っている古米とかに混ぜても全体がすごくおいしく炊きあがりますよ。

羽田 そうなんですか! 栽培方法に何か秘密はあるんですか?

敏子 一回深水を入れて稲を溺れさせることで、生命力を最大限に引き出しているそうです。

重夫 その農家さんのこだわりで。溺れて這い上がれないものは使わない。

敏子 収穫した種籾をまた撒いて苗を作って、というのを毎年繰り返すので、どんどん強くなっていくんだと思います。

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おいしくないと意味がない。ブレンドのバランスと鮮度にこだわる雑穀米。

羽田 実を言うと私、雑穀米が苦手で(笑)。今までいろいろいただいたりしたんですけど、おいしいと思ったことがなかったんですよ。でも、こちらのブレンド雑穀米を食べたとき、「えー、おいしい!」ってなって。初めてですよ、雑穀米でおいしいって思ったのは。

敏子 雑穀米はブレンドが命で、すごく難しいんですよ。栄養を摂りたいからと言ってたくさん入れると、バランスが崩れておいしくなくなってしまいます。おいしくないと続かないし、いくら栄養があっても意味がありません。私は、ブレンドしたものを必ず炊いて、色合いも気にしながら、バランスと味を見ながら仕上げるようにしています。

羽田 確かに。玄米にしても、いくら体にいいから食べようと思っても、おいしくなかったら絶対に続かないですよね。

敏子 そうなんですよ。あと、うちの雑穀は新鮮で品質の良い国産品だけを使っているからおいしいのかもしれませんね。雑穀は、海外産のものやちょっと古いものを使うと、においが出ちゃったりするんです。大きなメーカーさんとかだと国産雑穀を大量に確保するのが大変だと聞きます。

重夫 今は雑穀も貴重で、作っているところも限られるので。

羽田 そうなんですか?

敏子 寒冷地で育つので、栽培の手間はかからないんです。でも、収穫したあと、全部手作業で脱穀をしないといけないのでその手間がかかる。脱穀する機械が作られてないんですよ。

重夫 手間がかかるので、作り手がいないんですね。

敏子 誰でもお米を食べられる時代になって雑穀が食べられなくなって、雑穀の育成について研究がされなくなったという経緯があって。だから、お米のように機械も作られないし、品種改良もされないから収穫する前に実が落ちてしまったりして。収穫量もあまり取れなかったりするんだそうですよ。

羽田 本当に貴重なんですね。雑穀はどこから仕入れているんですか?

敏子 商社を通したり、東北とか九州の契約栽培で作ってもらったりしています。でも、雑穀の生産量が限られているので、生産と供給の問題は常にあります。ある雑穀がメディアで取り上げられて急に売れたりすると、原料が仕入れられなくなってブレンドが作れない、なんていうことも多いです。ちょっとずつ継続的に売れるようになれば、農家さんも生産量を徐々に増やしていけるんですけどね。

羽田 そういう意味でも、食事をいただく行為そのものが、実は人間同士の立派な繋がりを生んでいるんですよね。作ってくださる人がいて、食べさせていただく人がいるという。

敏子 今回の羽田甚商店さんとのコラボが、玄米や雑穀の良さをいろんな方に知っていただく良いきっかけになると思います。

羽田 同じ地元で、こうやって意識高く取り組まれている方がいらっしゃるということは、私の誇りです。たくさんの方に届くといいなと思います。